2025年9月25日 コンクリート新聞
2025年9月25日 コンクリート新聞
補修技術動向を講演 JCMA 劣化や変状にも焦点
コンクリートメンテナンス協会(JCMA、徳納剛会長)は8月27、28の両日、東京・住吉のティアラこうとうでコンクリート構造物の補修・補強に関するフォーラム2025を開いた。コンクリートの劣化機構やコンクリートに生じる変状などメカニズム的な内容に加え、セメント系補修材の動向や電気化学的防食工法、亜硝酸リチウムといった各種材料による補修技術の概要など最新のコンクリート補修技術の動向に焦点を当てた。
28日の冒頭にあいさつした同協会の江良和徳専務理事(技術委員長)は「長い講習ではあるが、皆さんの興味をひく内容だと思うのでぜひ聴講いただきたい」と述べた。
28日の講習会では、首都高速道路保安・交通部点検・補修推進室点検・補修推進課の依田勝雄氏が「首都高速道路における維持管理の取り組み」、三井住友建設の佐々木亘氏が「電気化学的防食工法の設計・施工・維持管理」、京都大学名誉教授の宮川豊章氏が「コンクリート構造物の適切な維持管理で持続可能な未来を」、江良氏が「コンクリート構造物の長寿命化における亜硝酸リチウムの役割」、近未来コンクリート研究会代表の十河茂幸氏が「コンクリートに生じる変状とその対応」でそれぞれ講演した。
依田氏は首都高の歴史や交通上の特徴を紹介したうえで、点検補修サイクルについて、発見される損傷が増加傾向にあると説明。構造物の点検および補修を、PDCAサイクルを策定して確実に実施しているとした。また、点検困難箇所の近接点検はロープアクセスの多用や、恒久足場を設置し、作業空間を常時確保することで点検を容易にしていると紹介した。補修の取り組み事例ではRC床版の炭素繊維補強や剥落防止対策などを紹介したうえで、大規模修繕の考え方などを説明した。
十河氏はコンクリートに生じる様々な変状の種類を説明したうえで、施工時に生じる変状の事例として沈下ひび割れや豆板、コールドジョイント、表面気泡、施工初期に発生するひび割れ(温度ひび割れ、乾燥収縮ひび割れ)などを紹介した。その対策を詳細に説明したうえで、予防保全のため点検は簡易にして補修に費用をかけるべきとし、劣化状態と将来予測の判別について解説した。