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コンクリート構造物の補修・補強に関するフォーラム、コンクリート構造物の補修・補強材料情報
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朱鷺メッセ 中会議室
申込者数:221名
参加者:160名
参加率:72.4%

〒950-0078 新潟市中央区万代島6番1号

2016/08 新潟フォーラム | 一般社団法人コンクリートメンテナンス協会
2016/08 新潟フォーラム | 一般社団法人コンクリートメンテナンス協会2016/08 新潟フォーラム | 一般社団法人コンクリートメンテナンス協会

主催者挨拶

(一社)コンクリートメンテナンス協会 会長 徳納剛

本日は平日のご多忙のところ、かくも多数ご参加頂き有難うございます。

本年度、私たちコンクリートメンテナンス協会は、札幌から那覇まで全国10か所で、コンクリート補修に関して最新の知見と技術を紹介するため、フォーラムを開催いたします。
今回の新潟フォーラムは9か所目の開催となります。
本日の第一部は 北陸地方整備局 技術調整管理官 倉重毅 様に 行政の立場から「北陸地方整備局の取り組み」と題しまして、北陸地方の社会資本のメンテナンスについてお話を頂きます。
第二部はセメント協会による、無機系補修材について講演を頂きます。
第三部は私たちが提唱しています、定量的な補修の考え方について、本協会の技術委員長であります、江良和徳さんに講演を頂きます。江良講師は亜硝酸リチウム圧入工法によるASR対策をテーマに、京都大学大学院で宮川豊章教授の下で研究されて、学位を取得されています。
私たちの定量的なコンクリート補修の考え方について、A4にまとめて皆様のお手元に配布しています。ご参考にしてください。
さて、多くの材料や工法の中から、選択をしなくてはいけない「コンクリートの補修」は難しいと思っていました。
以前は、鉄筋が腐食して断面欠損したら埋め戻す。
ASRでひび割れが発生したら3種のエポキシ樹脂を注入する。等々が、当たり前の考え方でした。
それでいいんでしょうか。
なぜ、断面欠損したのか?なぜひび割れが発生したのか?の現状把握と、どのような対処をしたら、補修後、将来はどのような状態になるのか?の将来予測が大切と思います。
その様な考えで、現地調査から材料・工法決定まで、補修設計フローに沿って取り組むと、コンクリート補修はけっして難しいものではありません。
使用に耐えられるように、そして、経済的に、健康寿命を延ばすことが本来あるべきコンクリート補修ではないでしょうか。

われわれの、補修の考え方を、本日の講師の江良先生が  技術資料として作成し、最新の補修の考え方と補修技術を加え昨年に改訂しました。

本日の講演はこの技術資料に沿った内容となっております。

第4部は防錆材として、ASR対策として、定量的補修工法で注目を集めている、亜硝酸リチウムを使った補修工法について第3部に続いて江良技術委員長に講演頂きます。

第5部は有機系被覆材と剥落防止材について、日本ペイントの中丸様に講演を頂きます。

私たちコンクリートメンテナンス協会は、特定の技術の工法協会ではありません。 
有効な、正しい、新しい技術を、議論しながら、推進してまいります。

本日の講演の内容が、北陸地方のコンクリート構造物の長寿命化に貢献できることを祈念いたします。

最後になりましたが、本日の開催に関しまして、当地の会員である、胎内市の㈱西奈美組様、新潟市の佐久間組様、小千谷市の渡辺建設㈱様、長岡市の㈱山長組様、柏崎市の㈱北洋様、五泉市の㈱目黒組様、阿賀町の㈱三川組様、新潟市の大野建設様、燕市の㈱河村組様に大変お世話になりました。また、極東興和㈱様には講師の派遣等お世話になりました。有難うございました。

本日は午後5時までの長時間となりますが、最後までご聴講頂けましたら幸いです。

コンクリートメンテナンス協会の考えるコンクリート補修のあるべき姿

~コンクリート構造物の定量的な維持管理~

 コンクリート構造物の点検、調査、診断、補修、補強などの維持管理業務に対する関心が高まり、それらの重要性が広く認識されるようになりました。それに伴ってコンクリート構造物の維持管理の取り組みも黎明期から成熟期へと移行しつつあると実感しております。
 我々はこれまで多くのコンクリート補修工事に携わってきた経験がありますが、黎明期に経験した補修工事の内容を見ると、『ひび割れが生じているからひび割れ注入を行う』『鉄筋露出しているから断面修復を行う』といった、いわば変状に対する対処療法的な工法選定が多かったように感じます。ここに欠落していたのは、『なぜひび割れが発生したのか?』『なぜ鉄筋が腐食したのか?』という根本的な原因推定です。劣化原因も明確にしないまま闇雲に補修を行っているわけですから、せっかく補修を行ったにもかかわらず多くの構造物に再劣化が発生しました。
 やがて、塩害、中性化、アルカリシリカ反応(以後、ASRと称す)などの劣化に関する知見も整理蓄積され、その調査方法なども確立されていきました。コンクリート構造物に生じたひび割れや浮き・はく離などのさまざまな変状に対し、詳細調査、室内試験等を実施して劣化機構を明らかにするという手順を踏むことが一般的となり、劣化の原因を特定してその劣化機構に対して効果があるとされる補修工法、補修材料が選定されるようになりました。補修分野の新材料、新工法が精力的に開発され、補修のメニューはたいへん豊富な状況となりました。しかし、残念ながら補修後の再劣化が後を絶たないのが現状です。コンクリート補修の難しさを痛感いたします。
 我々は考えました。『塩害に効く』とはいったい何を指しているのか?『ASRを抑制する』とはいったいどのような状況を指しているのか?それらを明確にしなければまた再劣化を繰り返してしまうはずだと。その結果、劣化機構に応じて補修工法を選定するだけでなく、それを定量的な観点に立って設計しなければならないとの結論に達しました。
定量的な補修工法選定とは何か。我々はこのように考えています。例えば塩害の場合。塩害の補修といっても、その目的は「塩化物イオンを侵入させない」「水、酸素を侵入させない」「鉄筋腐食反応の速度を緩和させる」「鉄筋腐食反応そのものを停止させる」「腐食によって断面減少した鉄筋量を補う」「部材としての耐荷性能を回復させる」など、置かれている劣化過程によって様々です。まずは補修工法にどんな要求性能を設定するかを明確にする必要があります。また、塩害の調査診断では必ず塩化物イオン含有量を測定しますが、せっかく測定したのに「測定値が腐食発生限界塩化物イオン量を超えているため、劣化機構は塩害と判定する」というだけではもったいないでしょう。塩化物イオン濃度の大小は内部の鉄筋腐食速度の大小と関係性があります。さらに、塩化物イオン濃度に対してモル比1.0となる亜硝酸イオンを防錆材として供給すると、以後の鉄筋腐食抑制効果が期待できると既往の研究で明らかになっています。これらの知見を活用すれば、表面含浸工法も単なる劣化因子の遮断のための工法にとどまらず、鉄筋位置での塩化物イオン量に応じて亜硝酸イオン供給量を計算して塗布量を設定することで、鉄筋腐食抑制効果を付加することができます。同様に、断面修復工法でも必要な亜硝酸イオン量を算出してポリマーセメントモルタルに混入する量を設定することができます。さらに、内部圧入工法では鉄筋かぶりが大きい構造物、塩化物イオン濃度が高い構造物、鉄筋腐食が既に顕著な構造物に対しても、亜硝酸イオン量を定量的にかつ早急に鉄筋位置に供給することができます。
上述した内容は我々が考える定量的な補修の考え方の一部です。また、この定量的な補修工法選定に加え、補修後の維持管理シナリオを時間軸で捉えることも重要です。再劣化しない補修工法を選定することが常に最善だとは言い切れません。費用を投じて根本的な補修を行い、以後の再劣化を許容しないという維持管理シナリオもありますし、まずは必要最小限の補修を行い、その後の再劣化も許容して再劣化と再補修を繰り返しながら供用するという維持管理シナリオが選択されることもあります。このように定量的な工法選定と将来の維持管理シナリオを総合的に評価することで、コンクリート構造物の長寿命化の実現、ひいては持続可能な社会の実現に寄与できると考えています。

第一部(60分) 10:10~11:10

北陸地方整備局の最近の取り組み

北陸地方整備局企画部 技術調整管理官 倉重毅氏

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第二部(50分) 11:20~12:10 セメント協会

(一社)セメント協会  徳永健二氏

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第三部(70分) 13:10~14:20 

「劣化機構に応じた補修工法選定の基本的な考え方」

コンクリートメンテナンス協会技術委員長 江良和徳氏

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第四部(90分) 14:30~16:00 

「亜硝酸リチウムを用いた塩害、中性化、ASRの補修技術について」

コンクリートメンテナンス協会技術委員長 江良和徳氏

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第五部(45分) 16:10~16:55 

「コンクリート構造物の劣化と表面保護工法について ~塗膜型剥落防止工法と表面保護クリヤー工法~」

日本ペイント販売(株) 中丸大輔氏

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司会進行

西奈美さん

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最後までご聴講有難うございました。

2016/08 新潟フォーラム | 一般社団法人コンクリートメンテナンス協会居眠りをする方はほとんどなく、最後までご聴講を頂きました。
有難うございました。
私たちが提唱する、「定量的な補修工法」についてご理解いただけましたら幸いです。
新潟のコンクリート劣化は広島とよく似ています。広島は海砂による塩害、融雪剤による塩害が多い土地です。新潟は飛来塩分と融雪剤による塩害が多い土地です。また、ASRが両方とも多い土地です。私たちが培った塩害対策とASR対策の補修技術は必ず新潟で応用できると思っています。

コンクリート劣化は各地でそれぞれ違いがあります。よって、対策工法も違って当たり前です。私たちコンクリートメンテナンス協会はそれぞれの地で活動する会員が、それぞれの地で応用できる対策工法を研究して適応しています。まだまだ発展途上ですが、コンクリート補修技術自体が発展途上です。 
私たちの補修技術は常に進化してまいります。ご理解いただき、ご相談いただければと思っています。

今後もよろしくお願い申し上げます。