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コンクリート構造物の補修・補強に関するフォーラム、コンクリート構造物の補修・補強材料情報
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2019年6月6日 セメント新聞

鉄筋の防錆が焦点
JCMA 小規模橋向け要領作成

2019年6月6日 セメント新聞 | 一般社団法人コンクリートメンテナンス協会
 コンクリートメンテナンス協会(JCMA、徳納剛会長)は5月23、24日に東京・大井町のきゅりあんでコンクリート構造物の補修・補強に関するフォーラム2019(東京会長)を開いた。会場には診断・補修業務を専門とするゼネコンや補修材メーカー、発注官庁など約1200人が参加した。
 あいさつにたった徳納会長は今年度のフォーラムについて「予防保全と事後保全の双方の観点に立ち。鉄筋コンクリート構造物の健康寿命を延ばすための維持管理の考え方に関する基本概念、最新の調査診断と適切な維持管理技術を紹介する」と述べ、特に鉄筋防錆に焦点を当てるとした。具体的には「電気化学的防食工法を亜硝酸リチウムの定量的防錆工法を中心に事例を交えて解説する」と述べ、各解説者のポイントを紹介した。
 長寿命化のための点検要領について、近未来コンクリート研究所の十河茂幸代表が講演した。十河代表は2m未満の小規模橋梁を含めると約100万橋があり、道路橋の75%が市町村管理のため、小規模橋梁の予防保全が今後のカギになると指摘した。そのうえで、少子高齢化時代の公共サービスとして「早めの措置が効果的」であり、コンクリート構造物の予防保全を早めに促すことでコスト削減が進むとし、JCMAと近未来コンクリート研究会が共同で作成した「小規模橋梁の簡易点検要領(案)」の内容を説明した。点検要領(案)の骨子について十河氏は「予防保全を前提とし、損傷が顕在化する前に対応する」、「点検は簡素に安価、環境を考慮し、調査項目を絞り込む」、「判断は専門家が対応、補修の要否は専門家が判断」の3点を挙げた。点検要領の活用について十河氏は「初版は試行が目的」とし、実務の中で順次改善していくとした。また、小規模橋の管理者と共働することを計画していく。
 JCMAの江良和徳技術委員長は「維持管理シナリオを考慮したコンクリート補修の考え方」の題で講演。コンクリートの劣化について「塩害」「中性化」「アルカリシリカ(ASR)反応」の3点のメカニズムを解説し、コンクリート補修の基本的な考え方を説明した。例えば、塩害の場合、劣化メカニズムとしての原因、劣化進行、性能低下を解説し、コンクリート補修工法の選定で一般的な工法と要求性能について事例を交えて説明した。補修工法の選定方法は劣化メカニズムと劣化の程度に応じて工法を選定するとし、「劣化が生じている原因」、「次の劣化過程に進行させないためのポイント」を把握し、今後どのように維持管理していくのかを考えながら補修工法を選定すべきとした。
 京都大学の宮川豊章特任教授が「コンクリート構造物の補修・補強について」の題で講演したほか、各種補修工法について協会関係者が説明した。
 同フォーラムは全国各地で5~9月にかけて開催されている。今後、仙台(6月27日、28日)、高松(7月5日)、岡山(7月18日)、福岡(7月23、24日)、沖縄(8月1日)、名古屋(8月20日)、新潟(8月30日)、札幌(9月5日)、高知(9月19日)、熊本(9月26日)で行う。参加費は無料。会場や参加方法はJCMAホームページに記載されている。