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2026年8月21日 中建日報

2026年8月21日 中建日報
「この人」に聞く
近未来コンクリート研究会代表 十河茂幸氏

2026年8月21日 中建日報  「この人」に聞く  近未来コンクリート研究会代表 十河茂幸氏  | 一般社団法人コンクリートメンテナンス協会
 「この人」に聞く
 近未来コンクリート研究会代表 十河茂幸氏
 ・土木学会吉田賞「研究業績部門」に
 ・コンクリート品質向上で幾多の業績

 「われわれコンクリートに関わる技術者にとっては本当に名誉な賞。過去の業績が認められたことを嬉しく思うとともに、機会を与えてくれた大林組や関係者の皆様に感謝を申し上げたい」と受賞の喜びを噛みしめる十河氏。主に1974年から37年間在籍した大林組技術研究所における「コンクリートの製造と施工における品質向上に関する研究」が評価され、土木学会から2025年度の吉田賞(研究業績部門)に選出された。
 吉田賞は、日本のコンクリート技術の基礎を築いた吉田徳次郎博士の功績を称え、コンクリート及び鉄筋コンクリート技術の進歩向上に寄与することを目的に1961年に創設された。優秀な業績や論文、若手研究者などが対象で、中でも最高峰となる研究業績部門は、中国地方の技術者としては約10年ぶりの選出となる。
 十河氏は、大林組及び広島工業大学において、コンクリートの材料、製造、施工をはじめとする高品質で高耐久な構造物に関連した研究に一貫して従事。マスコンクリートの品質向上のための低発熱型セメントの提案、液体窒素の注入によるコンクリートのプレクーリング工法の開発、ブリーディング抑制に寄与する知見の創出などといった先進的な技術を先導したほか、水中不分離性コンクリート、分離低減型PCグラウトなどの技術を開発した。
 さらには、生コンの品質変動を抑制するため、細骨材の水浸計量システムの開発・実用化にも成功し、土木学会においては、「コンクリート標準示方書施工編及びダム編」の改定作業に深く携わるなど、コンクリート施工標準の確立に貢献したことも評価された。
 印象深い仕事は「正直、数えきれない」としつつ、「大規模LNG地下タンクの設計・施工」「タイ高速道路におけるコンクリート品質確保の技術協力」「明石海峡大橋でのセメント評価の統括管理」の3つを挙げる。いずれも大林組時代に経験したもので、「難しい仕事を経験したことで施工の自力が付いたし、紆余曲折もあったがゼネコンで大きな仕事を数多く経験させていただいたことは私の財産だ」と振り返る。
 現在は、近未来コンクリート研究会を主宰し、コンクリートの長寿命化のための全体最適を目指して業種間の垣根を超えた協議会を定期開催している。「コンクリートの施工性改善、延命化技術研究、脱炭素技術研究の3テーマで、若手技術者と協働しながら技術開発及び次世代技術者の育成、助言を行っている。私も微力ながらアイデアを出させてもらっており、体力の続く限り貢献していければ」。
 【gそごう・しげゆきg】
 1974年に九州大学大学院を修了し、大林組に入社。2011年からは広島工業大学教授を務め、退職後の18年に近未来コンクリート研究会を立ち上げた。「コンクリート診断士試験合格指南」など多数の著書を持つ。
 信条は「流れに逆らわず、流されず」で、成り行きに任せつつも確たる意志を持つことを心掛ける。1948年4月5日生まれの78歳。呉市出身。