コンクリート構造物の補修・補強に関するフォーラム、コンクリート構造物の補修・補強材料情報
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プレス情報

2014年01月01日 中建日報

コンクリート構造物の補修・補強に関するフォーラム2013 広島発 補修の波 全国へ広がる

2014年01月01日 中建日報
 コンクリート構造物の老朽化対策に対する関心が日々高まりを見せる中、(一社)コンクリートメンテナンス協会の主催による『コンクリート構造物の補修・補強に関するフォーラム2013』が昨年も日本全国各地で開かれた。フォーラムでは同協会技術顧問で工学博士の江良和徳氏による『コンクリートの劣化と補修工法選定の考え方』と日本ペイント販売(株)の中丸大輔氏の『コンクリート剥落防止と塗膜型剥落防止システムについて』をメインに、愛知会場では京都大学大学院の宮川豊章教授による特別講演『丈夫で美しく長持ちする市民社会を』、広島会場では(株)ダイクレ興産の『支承リバイバルシステム』なども披露された。フォーラムの全国展開を始めて4年目となった昨年の開催会場は28カ所にものぼり、延べ3000人の官庁・コンサル関係者が出席。徳納会長が約15年前、仲間とともに広島で起こした補修の波が全国に広がっている。
 

補修は決して難しくない

(一社)コンクリートメンテナンス協会 会長 徳納武使(福徳技研(株))

 昨年、私たちコンクリートメンテナンス協会は、札幌から那覇まで全国27か所で「コンクリートの補修・補強に関するフォーラム」を開催いたしました。  
 フォーラムの全国展開を始めまして4年目となります。一昨年までは、コンクリート補修の基礎知識に重点を置いて、コンクリート劣化のメカニズム、そして、その対処工法についてをテーマとして開催いたしました。そして、昨年は一歩踏み出して、補修工法選定の考え方について重点を置いた内容としていたしました。
 参加者総数は3000人を超え、コンクリート補修への関心の高さを感じた一年でした。
 フォーラム冒頭の挨拶で私は「コンクリートの補修は決して難しくはありません。」と言い続けました。それは、補修のシナリオをデザインしてそのシナリオに沿って調査から診断、補修設計、そして補修工事に取り組むと決して難しいものではないというのが私の持論です。
 コンクリート補修を行うとき、まず現地で調査して、劣化原因と劣化因子の特定をします。それは、塩害なのか、中性化なのか、ASRなのか?
 2番目に、症状のグレード、潜伏期、進展期、加速期、劣化期のどこに位置するのかを確認します。そのためには、その数値的裏付けの確認が必要です。塩害だと塩分量、中性化だと中性化残り、ASRだと残存膨張量などです。
 3番目に、対象構造物が置かれた自然的あるいは物理的環境の要素や、求められる補修後の要素を加えます。それは、置かれた気象的環境やどれくらい延命したいかなどです。
 そうして最後に、補修材料と補修方法の決定と進めば、コンクリート補修とは決して難しいものではありません。
 補修工法には2つの考え方があります。「劣化因子を入れない補修方法の検討なのか」「すでに劣化因子が入ったものの補修の検討なのか」です。
 劣化因子を入れない方法は、環境に応じて、要求される性能を考慮して、被覆材を選択すればいいと思います。一方、劣化因子がすでに入ったコンクリートの補修は、難しそうに見えて実は選択肢があまりないのが現実です。塩害・中性化による劣化ですと、鉄筋防錆を目的とした工法になります。鉄筋防錆を目的とした工法は、電気防食かもしくは防錆剤を使った工法になります。防錆剤を使った工法の代表格が、亜硝酸イオンを使った工法です。
 また、ASRだと、リチウムイオンを効果的に内部圧入する工法でしか化学的には劣化の進行を止められないのです。
 このようなシナリオで考えを進めていけば、数学の方程式を解くように答えは出てくると確信しています。
 (一社)コンクリートメンテナンス協会は工法協会ではありませんが、最終的にたどり着いた工法で「亜硝酸リチウムの圧入技術」があります。この亜硝酸リチウムの圧入工法は 3つのNETIS技術のくみあわせであり、土木学会・材料学会・コンクリート工学会等で多く発表され、国内各地で多く採用されている技術でございます。
 また、私たちの補修の考え方を、技術資料として作成いたしました。これは、実際の業務をする著者(極東興和(株)江良和徳博士)がまとめましたので、実務で使える内容になています。この技術資料の前半、劣化のメカニズムから補修方法まで、わかりやすく解説しており、またこの本は、唯一の亜硝酸リチウムの解説本です。
 フォーラムでは、最近注目されている新技術の日本ペイント(株)の塗膜型剥落防止対策工法や(株)ダイクレ興産の支承狭隘部も重防食できる、金属溶射工法の紹介をさせて頂きました。昨年から取り組んでいますのが、亜硝酸リチウムとケイ酸系含浸材み合わせて、防錆効果と劣化因子侵入防止の両方を持った含浸工法にも取り組んでいます。
 (一社)コンクリートメンテナンス協会は、これからも有効な新しい技術を、議論しながら、推進していきたいと思っています。
 

工学博士 江良和徳((株)極東興和)

コンクリの変状、目をそむけずに

 コンクリートメンテナンス協会主催の技術講習会「コンクリート構造物の補修、補強に関するフォーラム」の会長挨拶にて徳納会長が毎回、『コンクリートの補修は決して難しくありません』と表現されます。その後に続く技術講演の冒頭で、私は『いや、コンクリートの補修はやはり難しいですよね』と述べてから本題に入ります。実はこの相反する2つの言葉が、このフォーラムで伝えたい内容の本質を表していると思っています。
 コンクリートの調査、診断、補修、補強という分野は難しい、というのが一般的な受け止め方ではないでしょうか。実際、これらの分野の代表的な資格「コンクリート診断士」の試験に合格することは容易ではありません。ではなぜこの分野が難しいのでしょう。ごく一般的に適用されてきたひび割れ注入工、表面被覆工、断面修復工といった従来からの補修工法であっても、様々な材料の種類、製品があります。また近年では表面含浸工、電気化学的工法も加わり、ますます選択肢が増えてしまいました。そして補修工法選定に先立って行われる劣化診断においても、数々の調査法、試験法、非破壊検査手法などが多岐にわたっており、もう頭の中がパニック、という状態です。『いろんな工法があって、どれが一番いいのか分からない』という声をよく聞くのは、膨大な情報量の中で雲をつかむような漠然とした不安感を感じてしまうせいかもしれません。このように考えてしまうと、やはりコンクリートの補修は難しいのです。
 しかし、コンクリート構造物の劣化機構、特に我々が遭遇する頻度の高い塩害、中性化、ASRの劣化メカニズムを理解することで、補修工法、補修材料に要求される性能が明確となります。またそのために行うべき調査診断方法も見えてきます。そして各劣化における現時点での劣化程度や将来予測を定量的に評価することが重要です。例えば塩害であれば塩化物イオン量、中性化であれば中性化残り、ASRであれば残存膨張量などが挙げられます。これらを適切に評価することにより、補修工法にどのような要求性能を持たせるべきか、が自ずと絞られてきます。こうなると、決してコンクリートの補修は難しくない、と感じられるかもしれません。少しでも多くのフォーラムご参加者にこう感じていただきたいと考えています。
 このフォーラムの後半では、コンクリート構造物の補修材料のひとつ、「亜硝酸リチウム」を用いた補修技術の紹介を行っています。亜硝酸リチウムは、亜硝酸イオンによる鉄筋の不動態化(鉄筋防錆効果)とリチウムイオンによるASRゲルの非膨張化(ASR膨張抑制効果)という異なる2つの劣化抑制メカニズムを有しています。これらのメカニズムにより、亜硝酸リチウムは塩害、中性化、ASRで劣化したコンクリート構造物の補修材料として活用することができます。また、それぞれの劣化過程や変状の状況に応じて、表面含浸工、表面被覆工、ひび割れ注入工、内部圧入工、断面修復工の材料として使い分けることができます。
 しかし、これらを単純に表現すると、「亜硝酸リチウムは塩害にもASRにも効きます」という表現になりがちです。『一つの材料で塩害にもASRに効くなんて、そんな夢みたいな補修材料があるものか!』とおっしゃる方もおられます。おっしゃるとおり。私も同意見です。亜硝酸リチウムは決して夢の補修材なんかではありません。使い方を間違えば不十分な効果しか発揮されず、再劣化することもあります。そのことをご理解していただくとともに、劣化したコンクリート構造物の長寿命化に少しでも寄与するための亜硝酸リチウムの効果的な適用方法をお伝えすることも我々のフォーラムの目的のひとつです。
 (一社)コンクリートメンテナンス協会のフォーラムにご参加いただいているのは、実際にコンクリート構造物の維持管理業務に携わっておられる技術者の方々が多いと思います。コンクリート表面にひび割れが生じている、鉄筋が腐食して露出している、など、さまざまな変状を呈しているコンクリート構造物に日々向き合っている方々です。たとえコンクリートの補修は難しいと感じていても、変状を呈したコンクリート構造物から目をそむけることはできません。もはや目をそむけている余裕はないのです。そのような方々にとって我々のフォーラムが少しでもお役に立てていれば幸いです。


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